テレビと新聞 ニュースは新聞だけではなくテレビで知ることもできます。 じゃあ、新聞なんか読まなくても、テレビを見ればいいじゃないか。そのほうが楽だし早いじゃないか。そんなふううに考える人もいるかもしれません。でもやはり、僕は新聞をよんでほしいと思います。新聞には、テレビにないよさがあると思うからです。 テレビというのは、映像と音が組み合わさっています。見る側は、目とか耳とかの感覚を働かせることになります。テレビの前に座っていると、感覚に訴える要素が次々にあらわれ、次々に消え、移っていくわけです。1 これはテレビの特色ですが、同時に欠陥でもあります。 ときどきこちらが考えさせられるようなことを言ったり、興味深い画像が出てきたりしますが、あっと思ったらもう次に映ってしまい、よほど印象深いもの以外は思い出しません。 それに対して新聞、(2)活字の場合は立ち止って考えることができます。それだけではなく、さらに3 その先へ考えを進めることができる。 想像を広げたり、新しい着想を得たりということが可能なのです。 映像から得る感覚的な刺激は、その場だけで終わってしまうことが多いのですが、活字の場合は、新しい何かを付け加えたり、まったく違うものを造り出したりということがしやすいのです。 ( 『13歳は二度あるかー『現代を生きる自分』を考える』大和書房)