高齢化社会におけるスポーツ 105 歳の日本人男性が、陸上競技の100メートルで世界記録を出した。2015年に行われたある陸上の世界大会でのことだ。 「マスターズ」と呼ばれる 1 。日本ではまだあまり知られていないが、スポーツをいくつになっても楽しむことを目的とした大会で、陸上、、テニスなど様々な競技の大会が世界中で開催されている。陸上の大会では通常 5 歳ごとに分けられたクラスで同年代と競う。そのため、体力が落ちて若いころのように走れなくても対等に競うことができる。つまり、105 歳の男性が出した世界記録は、彼が参加したクラスにおける世界記録 2 。 ある調査によると、マスターズに参加している高齢者は心と体の健康を維 (い)持(じ)しているという。運動は心に活気を生み、記録という目標は生活の中で感じる不安やストレスを少なくするそうだ。 心も体も元気な高齢者の多い社会は、高齢化社会の一つの理想である。マスターズに参加する高齢者が増えれば、この理想に近づくことができる。 3 、マスターズの存在が影 (えい)響(きょう)を与えるのは、参加者にとどまらない。参加者以外の高齢者も、同年代が記録を目指す姿を目にすることで、体を動かすきっかけや心の活力が得られるに違いない。 4 、マスターズが広く知られる必要がある。テレビなどで目にする機会が増えるといい。 いつまでも心身ともに元気でいられる 5 。その社会の実現に向けて、マスターズの今の発展が期待される。